ゴマアレルギー セサミン等ゴマリグナン健康食品で副作用?
弊社は、コスメ/化粧品関連事業を行っています。化粧品成分の危険性/安全性について調べるたびに感じるのですが、インターネットの普及では韓国や中国の沿海部よりひけをとっているためか、日本語で書かれていることと英語で書かれていることに、大きな差を感じることがあります。インターネット上の情報が、いわゆるガラパゴス化しているのです。
たとえば天然防腐剤と使用されるローズマリーエキスは、日本語のサイトではほとんどの場合、天然だから安全な防腐剤と書かれています。強いていえば厚生労働省のホームページで、光過敏症や接触性皮膚炎・アレルギーなどの事例や死亡事例が、開示されている程度です。
しかし英語のサイト上では、ローズマリエキス配合化粧水の長期間塗布によるアレルギーの発生や、一旦発症してしまえば、ローズマリーを配合した芳香剤や食品などにも反応してしまい、普通の生活がおくれなくなる事例も紹介されていたりします。弊社では化粧水などのコスメに含まれる防腐剤が苦手な方が、弊社の手作り化粧水用素材をご購入されます。そのうちの何名かの方は、過去にローズマリーエキス配合化粧品の使用開始後1~3ヶ月で、アレルギ性皮膚炎とおぼしき肌荒れが生じた経験がおありとうかがいました。少々前置きが長くなりましたが・・・。
さて本題ですが、2013年8月27日、加工食品に含まれるアレルギー物質として表示を推奨する品目に、新たにゴマとカシューナッツを追加するとの、消費者庁より発表があったようです。「白ゴマ」「黒ゴマ」などすべてのゴマが対象となり、ゴマ油など加工品も含まれるようです。
欧米では既に、ゴマはアレルギー物質(アレルゲン)を含む食品として注意の対象であり、むしろ日本の対応は遅いとされています。最近ゴマによるアレルギーの事例が増えてきているのが、今回の消費者庁の発表にいたったようです。学校給食での粉チーズを含んだチジミによるアナフィラキシーショック死を経験した今、対策が急がれるところです。
しかし私はここで「急に増えてきた」点に対して、大きな疑問を感じます。「ふ~ん、ゴマアレルギーが増えて来たのか!」とすんなり受け止めてしまえばそれまでですが、やはり原因があるはずです。もちろん今回の発表には、原因には言及されておりません。
ゴマの成分を濃縮した健康食品(サプリメント)が、テレビCMや雑誌でよく宣伝されています。ゴマ油に含まれる「セサミン」に代表される「ゴマリグナン」という、ゴマ特有の成分です。「強力な抗酸化作用」や「コレステロール値低下作用」「アンチエイジング(抗加齢)効果」など、素晴らしい効果が期待できるようです。また植物性エストロゲンとしての性質もあるために、美肌や更年期障害にも効果があるとされています。ゴマリグナンにはセサミンの他に、「セサミノール」「セサモリン」「セサモール」というものも含まれています。
しかし物事には「裏表」「長所と短所」があるように、ゴマリグナンはいいことばかりではありません。これはあくまでも外用(経皮摂取)による事例ですが、ゴマリグナンはアレルギー物質であるとして、欧米では危険視されています。「米国国立生物工学情報センター」によれば、ゴマ油でアレルギー性接触皮膚炎を起こす患者さんの大半は、セサミン、セサモール、セサモリンに反応していることが、21世紀初頭からわかっていたようです。言いかえれば、ゴマリグナンは人により、アレルギー物質になって攻撃してしまうのです。
セサミンは有用成分であると同時にアレルゲン!
欧米では当たり前のことですが、日本では有用面しかスポットが当たっていません。まずはこのことを、認識する必要があると思います。
そして以下は私の推測によるものです。ご存知のように市場/店頭には、多種多様の化粧品が出回っています。なかにはゴマ油やゴマ抽出物を化粧品成分とするコスメもあります。それを少なからずの方々が、皮膚に塗布しているわけです。とくにオーガニックコスメのような天然由来の成分の場合は、外用によってアレルギーを発症する場合があります。「加水分解コムギ入りお茶石けん」や「コチニール色素入りメイク用品」などは、代表的な例です。冒頭のローズマリーエキスによるアレルギーも、同様でしょう。
以上はあくまでも、私の推測によるものです。しかしまったくの、的外れではないでしょう。
もうひとつは、セサミン配合サプリメントの安全性/危険性です。食用油には、アレルギーを起こすとされる「リノール酸」、比較的アレルギーを防ぐとされる「αリノレン酸」、そして中立的な性質の「オイレン酸」が含まれるとされています。食用油はリノール酸に偏らずに、バランスがとれていてれば安全性が高いわけです。
古来より自然なバランスのゴマ油を経口摂取してきて、安全であったわけです。それをセサミンをはじめとするゴマリグナンを多量に摂取しても安全であるという、充分なデータの蓄積はないはずです。そして先ほどの米国国立生物工学情報センターの資料によれば、セサミンは外用ではアレルゲンです。経口摂取でも、アレルゲンである可能性が高いと考えても差し支えないでしょう。アレルゲンをサプリメントとして多量摂取した場合に、アレルギー発症の危険性も危惧されるわけです。
なおアレルギーというものは、世代をまたぎます。女性だけでなく伴侶である男性も出産前にゴマ成分を含んだ化粧品を多用していたり、ゴマリグナン入りの健康食品を摂取していると、ご本人は発症しなくとも、赤ちゃんがごく少量のゴマの経口摂取でアレルギーを発症してしまう可能性が懸念されるわけです。消費者庁は今回の発表にとどまらず、このあたりも関係省庁と連携して検証していただけないものかと、私はつよく祈願いたします。
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