HASSPやISO9000/ISO22000の認証は一つの参考でしかない! 上海福喜食品事件から学ぶべきこと ④
前回の記事では、実際にどのような食品が輸入時に、食品衛生法違反となるかという事例について書きました。また海外の製造者が故意に農薬などの毒を混入したとしても、刑事責任は別として、その食品/食品原料を輸入した者(会社)が、毒を混入させていることと同じことになることも書きました。
食品を輸入するということは、これほど責任重大であるわけです。今回は違反にもっとも陥りやすいのではと、思われることについて書きたいと思います。
ご存知のように、品質の高い製品を作る品質マネジメントシステム(プログラム)として、ISO9000を取得している企業(認証企業)が、日本にも多く存在します。消費者/ユーザーに品質の安定した製品を供給するためのもので、ISO認証企業さまはたいへんご立派だと思います。弊社のような零細企業では、なかなかできないことです。
食品の品質管理に特化したマネジメントシステムとしては、やはりHASSP(ハサップ)が一般的でしょう。そしてこのHASSPをベースにした食品の高度な品質・安全管理システムとして、ISO22000の取得も進んでいるようです。
しかしこれらのプログラムの認定会社企業で製造された製品は、必ずしも大丈夫であるとは限りません。ISOの認証継続のための書類提出期限になって、あわててつじつま合わせの書類作りをされているような企業さんは、実際日本でも見受けられます。
要は日ごろよりそのプログラムを活用して、高品質な製品を製造しているわけではないのです。認証企業であり続けること自体が、目的なのです。なぜなら認定企業であれば、購買者から「品質の高い製品を供給している」との錯覚を与えることが可能だからです。これは海外でも、常套手段です。
もちろん多くの企業さまは、まじめにプログラムを実行されていると信じます。しかし私の経験では、あくまでもひとつの要件にとどめ、決してあてにしてはならないことなのです。あてにし過ぎると、弊社自身がバカをみるだけでなく、日本の消費者を危険にさらしてしまいます。今回の中国の上海福喜食品事件の場合、「HASSP認定企業であったから安心していた」との情報も、見受けられるようです。
弊社が海外より物資を調達する際は、こういった認証は最低条件と位置づけています。弊社は食品レベルの化粧品原料として、タラソテラピー海藻パックに使用するオーガニックローズも海外より輸入しておりますが、この最低条件をクリアした50社以上の海外企業さんからさらに絞り絞込み、また対話/訪問等を行った上で、サンプル輸入を始めます。別の記事にも書いておりますが、欧米では食品原料より化粧品顔料のほうが、規格は厳しくされています。
購買者にとってこれらの認証システムが、役立つ場面がじつは他にあります。それは品質上のことで経済的損失を被った場合に、国によっては国際裁判を起こすことなく、賠償してもらえる手段として利用できるからです。メール等の手間はかかりますが、費用がは一切かかりません。これはウラワザですが、輸入者として心得ておいてもよろしいのではないでしょうか・・・。
次回のシリーズ最終回の記事では、どのようにして怪しい輸出者を避けるかということについて、書きたいと思います。
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