中国・上海の食肉加工会社より輸入したチキンナゲット等の品質問題について ②
前回の記事では、日本の「食品衛生法」の観点からすれば、使用期限切れ鶏肉・食肉問題の事件の現場は、中国国内ではなく、通関前の保税倉庫と税関のボーダーライン(貨物の実質的な国境)上で発生していることを書きました。今回はこのことについて、ご説明したいと思います。
食品や食品原料の販売や輸入は、日本では原則自由に行ってよいこととなっています。弊社も非定期的ではありますが、食品(原料)を輸入します。しかし自由だからといっても、さまざまな制約があります。そのイチバン大事な法律が、「食品衛生法」です。
必要事項を記入した「食品等輸入届出書」を検疫所に提出してパスすれば、誰でも海外より食品を輸入でき、それを国内に流通させることができます。あくまでも「届出」であり、「許可申請」という形ではありません。ですから先ほど私は、日本では原則自由と書いたわけです。
しかしこの届出をした以上は、食品衛生法に抵触するような食品を、輸入をしてはなりません。そのために輸入者(輸入会社)は、徹底的に輸出者(輸出会社)や海外メーカーや製品の、信頼性・安全性を確かめなければなりません。端的にいえば、海外メーカーが食品に毒を故意に混入させた場合は、刑事責任ば別として、輸入者が毒を混入させたことと同じにみなされ、食品衛生法違反となります。
ですから日本の食品衛生法に照らし合わせれば、今回の事件の現場は中国国内ではないわけです。なぜそのような危険な食品(原料)を輸入してしまったのかということが、問題であるわけです。もちろん中国企業の行いは、決して許されるべきことではないでしょうが・・・。
危険な食品が国内に持ち込まれないように、検疫所では水際対策を行っています。その代表的なものが、抜き打ち検査です。保税倉庫に保管されている食品を検査し、万一食品衛生法上問題がある貨物が見つかれば、通関ができないことは勿論のこと、食品衛生法違反者としてインターネット上にも企業名が晒されて、社会的制裁を受けることとなります。
厳しいようですが、こうでもしなければ、流通先の末端である消費者の安全は確保できません。もし輸入した食品に不具合がある場合、消費者は海外まで苦情/クレームすることはできないからです。国内でのその輸入食品の責任者はすべて輸入者が負う、これが実際のルールなのです。
食品の輸入は原則自由ですが、安全性の高い食品を輸入することは輸入者の義務となります。決して危険な食品を、輸入してはなりません。そのためにもまずは、海外の食品は危険であるという大前提に立って、吟味を行う必要があるのです。
実際にどのような食品が違反になるかということについて、次回の記事で書きたいと思います。
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