徹底的に質問攻めにして不一致箇所をあぶり出す! 輸出者のウソを見抜くテクニック ⑤
前回の記事では、ISO認定ややHASSP認証がなされているからといって、安易に信じるべきではないことを書きました。いくら優れた品質管理プログラムを導入しているからといっても、生産ラインでは実際に反映されていない場合があるからです。品質管理プログラムが、内部の品質向上に役立てずに、単に対外的な広告に利用している企業からは、決して製品を購入するべきではないでしょう。
さて今回はこのシリーズの、イチバン大事なことについて書きたいと思います。あくまでも私の経験によるものであることを、先にお断りしておきます。
輸出者がウソをついて輸入者をだましていれば、もはや仕方ない。
これははたして正しいでしょうか・・・。
確かに今回のように悪質な輸出者に捕まってしまえば、だまされて食品衛生法に抵触する食品/食品原料を輸入してしまうリスクは高まるでしょう。いったん日本側の保税倉庫に収まってしまえば、たとえ国内の流通前であっても検疫所の抜き打ち検査で「違反」との結論が出れば、食品衛生法違反です。「だまされた!」と嘆いても、日本国内で責められるべきものは輸入者です。
あくまでも私の経験によりますが、食品/食品原料の仕様や製造方法等の確認を行う途上で、輸出者が完璧にウソを突き通すことは、たいへん困難であると思います。そのためには、徹底的に疑うことです。
疑うことはよくない!
たしか普段の生活で、必要以上に人を疑うことはよくないことでしょう。しかし疑わなければ、日本国内の消費者を危険にさらすことになってします。ですから輸入者は、疑いまくるべきなのです。
信用に関しては、欧米の人や中国人は加点方式をとりますが、日本人は一般的には減点方式をとります。日本では初対面の人を期待を込めて信用を100とし、その方が失敗等をすれば、評価を下げていきます。しかし欧米や中国では、初対面は信用はゼロです。輸入においては、加点方式をとるべきでしょう。性悪説と言い換えても、よろしいでしょう。
私の場合は、疑問に感じた点だけでなく、自らも疑問を作り出し、可能な限り輸出者との対話を増やします。疑問は多ければ多いほどよいのです。英訳する手間はかかりますが、何度もやり取りをやっていれば、それほど苦も感じないはずです。
疑問に対しては、当然ながら回答があります。その答には前後の工程なども含まれることが、意外なほど多いものです。回答の代わりに、フローチャート等が示されたHASSPの資料が、ポーンと添付ファイルで送られてきたりもします。
たとえば植物の乾燥粉末を、輸入することと仮定してみます。乾燥させる方法はどのような方法なのか、オーブン等で加熱して乾燥なせる場合は熱源は何なのか、電気ではなくガスや石油等の燃料が熱源の場合は、炎や排気ガスは被加工物とまったく分離されているのか否かなどなど・・・。もし分離されていなければ過去の記事のように、二酸化硫黄を添加物として加えたことと同じになり、食品衛生法違反になる可能性が出てきます。
それら多くの回答を和訳して並べて精査すると不一致がある、すなわち一貫性が無い場合があります。そういった場合は、疑うべきでしょう。検査管理どころか、工程さえも安定しない場合があります。とにかく労を惜しまず、徹底的に情報を出してもらうことです。これしか方法が無いのではと、私は思います。
あまり質問だらけで嫌われるのでは?
私の場合の言い訳は簡単です。「検疫所に尋ねられている。検疫所は疑うのが仕事ですから・・・。」という一文を加えて、どんどん質問していきます。もっとも輸入の実際では、検疫所に予め、事前にチェックポイントの助言を頂戴できます。ただしそれだけでは、すませてはならないでしょう。検疫所で頂いた質問をどんどん展開・派生させて質問を増やしていくのです。輸入者は検疫所以上に、輸入貨物については精通しているわけですから・・・。
検疫所の職員さんから、「そこまで疑ったらキリがない・・・。」と言って頂けるぐらいに徹底的に疑う - これが弊社の、食品輸入時のポリシーです。
(シリーズ終了)
《公式サイト内の化粧品関連記事集》
《他の関連サイト等》
● サブ公式サイト
● はてなブログ
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 2015年8月15日は 戦後70年目の終戦記念日 (2015.08.15)
- 新生銀行を発信元として偽装したフィッシング詐欺メール(2015.05.28)
- 徹底的に質問攻めにして不一致箇所をあぶり出す! 輸出者のウソを見抜くテクニック ⑤(2014.08.12)
- 中国・上海の食肉加工会社より輸入したチキンナゲット等の品質問題について ②(2014.07.26)
コメント