グリチルリチン酸ジカリウム(2K)を含有する甘草(カンゾウ根エキス/カンゾウエキス)の漢方薬での役割
前回の記事では、グリチルリチン酸ジカリウムジカリウムは甘草エキスの主要成分であることと、その類似成分に関してご説明させて頂きました。今回は漢方薬での甘草の役割や位置づけについて、書きたいと思います。
手作り化粧水の材料を販売サイト上などで、甘草エキスは漢方で使用されてきたものだから安全などといった、文言が書かれています。このような根拠のない宣伝を信じ込むと、大変なことにもなりかねません。どうかご注意下さいませ。
前回の記事でも書いたように、甘草は西洋でだけでなく、漢方の長い歴史でも使用されてきました。漢方処方の6~7割に甘草が配合されているため、漢方薬では最も人気の高い成分ということになります。風邪薬としても有名な「葛根湯」にも、甘草が配合されています。
配合される目的は、他の薬効成分の効き過ぎにブレーキをかけて弱めたり(解毒作用)、逆に他の薬効を高めたりと、その処方のまとめ役といった働きをするようです。またこの甘草単体の「甘草湯」は咳止めや喉の痛みの緩和の薬として、歴史的に使用されてきました。
日本では漢方薬は、比較的穏やかな働きで副作用は緩やか、すなわち安全とみる傾向がありますす。しかしこれはハッキリ申し上げて、まったくの誤りです。このような誤った風潮は、何十年も前に大手製薬会社さんがTVCMで、「漢方だから安心」といった誤ったメッセージを送ったことに端を発するようです。それに便乗したように、量販店さんの医薬品コーナーでは様々な漢方薬が山積み陳列されるといった、ちょっとした漢方薬ブームが到来しました。
しかし量販店さんで実際販売していたのは、医薬品に精通していないアルバイト店員さんでさえあったというのが実情で、たいへん危うい状況でした。当然ながら副作用や健康被害は、かなり続出したようです。「良さそうと思って買って服用したら、オシッコが出なくなってしまった…。」などといったお客さんの店員さんへの嘆きの声を、薬品売り場にいる時に耳にした経験があります。
そもそも漢方薬とは、対面販売が基本です。お客さんに椅子に腰かけてもらい、健康状態はもちろんのこと、顔色や体臭までもチェックして、お客さんの体質やその時の体調に合わせた漢方薬を販売するわけです。これは専門用語で「証」をみるという行為で、その調査を終えて初めて高い安全性が確保された漢方薬を提供できるというものです。
ですから「証」が外れた薬を服用してしまえば、毒を服用させてしまうこととなります。先ほどの日本で人気の葛根湯でさえ、「証」がはずれると風邪を悪化させたり、他の問題を引き起こすとされています。ですからカンゾウエキスの主成分であるグリチルリチン酸ジカリウムも、注意が必要というわけです。ですから先ほどの「漢方だから安心」は誤りであり、少なくとも「漢方は正しく使えば安心」とすべきなのです。
次回の記事では化粧品や薬用化粧品における、グリチルリチン酸ジカリウムの役割(配合目的)について、書きたいと思います。
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