グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸ジカリウム/GKⅡ)のステロイド様作用とは?
前回の記事では、グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)の配合量がどの程度のスキンケア製品であれば安全であるかということについて、書きました。今回はグリチルリチン酸ジカリウムジカリウムがもつ、ステロイド様作用について、書きたいと思います。
グリチルリチン酸ジカリウムがステロイド剤(副腎皮質ホルモン)と似た働きがあることは、ご承知のことだと思います。これは、これらの分子構造が、似ているためだとされています。代表的なものとして、抗炎症作用や抗アレルギー作用が挙げられます。ステロイド剤の代替として、グリチルリチン酸ジカリウムを用いることも可能というわけです。
一方、同じ働きをしないまでも、違う経路で結果的には同じ作用を及ぼす例もあります。その代表的な例は、糖化に関するものです。この場合の糖化とは、たんぱく質や脂肪をブドウ糖に変えるという意味で、今般注目されている最終糖化産物(AGEs)を生み出す糖化作用(メイラード反応)とは別のものです。
医療の現場でステロイド剤が必要とされる例として、ショック状態の低血糖の危険な状態の救命措置として、ステロイドが投与されることがあります。これは、ステロイド剤が糖化を促す副腎皮質ホルモンと同様の働きをして、生体内での糖化を亢進させて、血糖値を上げる効果です。
糖化に関わる副腎皮質ホルモンには、活性型コルチゾールと不活性型コルチゾンがあります。活性型とは、糖化させる力のあることを意味します。ステロイド剤の主要薬効成分は、この活性型コルチゾールというわけです。
この活性型コルチゾールは、生体内から分泌される変換酵素(11β-HSD2)により、不活性型コルチゾンに変換されることが知られています。また一方では、不活性型コルチゾンを活性型コルチゾールに変換する酵素が分泌されることも、明らかとなっております。これらの酵素は、生体内での活性型コルチゾールの量を制御することで、血糖値を正常にコントロールするというわけです。
グリチルリチン酸ジカリウムは、活性型コルチゾールを不活性型コルチゾンに変換する酵素(11β-HSD2)の働きを阻害することが、明らかとなってきました。つまり、ステロイド剤の場合は直接的に働きますが、グリチルリチン酸ジカリウムの場合は違う経路をたどって、同じ結果を導くということです。
以上のようにグリチルリチン酸ジカリウムがもつステロイド様作用とは、ステロイドと同じ経路をたどって効果を発揮する場合もあれば、違う経路をたどって同じ効果を発揮する場合もあるようです。じつはこのメカニズム自体も最近明らかにされたほど、グリチルリチン酸ジカリウムが身体に及ぼす作用は、解明がされていないことがまだまだ多いようです。
全体的ににさらっと流して書きましたが、きっとこの記事の途中で気になられた部分があると思います。化粧水等コスメに含まれるグリチルリチン酸ジカリウムで、活性型コルチゾールが増えたままになっている点です。次回の記事では、グリチルリチン酸ジカリウムがもつステロイド様作用よるお肌の老化の危険性について、考察してみたいと思います。
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