アトピー性皮膚炎の方はご注意を! グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K/グリチルリチン酸二カリウム/GKⅡ)のステロイド様作用とは?
弊社公式サイト内の「グリチルリチン酸ジカリウム 平成のまとめ」の連続記事を追記・補完のうえ、再編成いたしました。下記は第3章の内容の一部です。
(前回の記事よりの続き)
前回の記事では、平成の御代に薬用化粧品事故を起こした2つの商材(薬用美白化粧水・薬用美白石鹸)には、グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K/グリチルリチン酸二カリウム/GKⅡ)が配合されていたことを書きました。今回よりの記事では、グリチルリチン酸ジカリウム配合コスメを常用/長期使用することによる、お肌に与える影響について書きたいと思います。
グリチルリチン酸ジカリウムにはステロイド様作用がありますが、これはグリチルリチン酸ジカリウムとステロイドの分子構造が酷似しているためだとされています。代表的なものとしては過去の記事で述べた、抗炎症作用や抗アレルギー作用が挙げられます。炎症を抑えるためにステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)の代わりとして、グリチルリチン酸ジカリウムを代用することも可能というわけです。
実際にはアトピーケアとして、ステロイド剤の代わりにグリチルリチン酸ジカリウム(医薬部外品での表示はグリチルリチン酸二カリウム)配合化粧水で、アトピーケアする場合もよくあるようです。理由は、ステロイド剤よりも作用が穏やかであり、副作用も軽微といった認識からのようです。しかしこれには大きな落とし穴があるようで、後段にて述べたいと思います。
一方、同じ働きをしないまでも、ステロイド剤とは違った経路で作用して、結果的には同じ作用を及ぼす例もあります。「糖化」に関することは、まさにそれに該当します。この場合の「糖化」とは、たんぱく質や脂肪をブドウ糖に変えるという意味で、最近注目されている、最終糖化産物(AGEs)を産生する作用である「糖化作用(メイラード反応)」とは別のものです。
医療の現場でステロイド剤が必要とされる例として、ショック状態の低血糖の危険な状態の救命措置として、ステロイドが投与される場合があるようです。これは、ステロイド剤が糖化を促す副腎皮質ホルモンと同様の働きをして、体内での糖化促進して、血糖値を上げる効果を期待してのものです。
糖化に関与する副腎皮質ホルモンには、活性型のコルチゾールと不活性型のコルチゾンがあります。活性型とは、糖化させる力のあることを意味します。ステロイド剤の主要な有効成分は、この活性型のコルチゾールというわけです。
この活性型のコルチゾールは、生体内から分泌される“11β-HSD2”と呼ばれる変換酵素により、不活性型のコルチゾンに変換されることが、最近明らかとなっています。また一方では、不活性型のコルチゾンを活性型コルチゾールに変換する酵素“11β-HSD1”が分泌されることも、わかってきています。これらの酵素は、体内での活性型のコルチゾールの量を制御することで、血糖値を正常にコントロールする働きがあります。
グリチルリチン酸ジカリウムは、活性型のコルチゾールを不活性型のコルチゾンに変換する酵素“11β-HSD2”の働きを、妨害することが明らかとなってきました。つまり、ステロイド剤の場合は直接的に働いて血糖値を上げますが、グリチルリチン酸2Kの場合は違う経路をたどって、血糖値を上げるということです。
ここで大事なポイントですが、薬用化粧水や化粧品を使用する方は、血糖値を上げることなど必要としておりません。
このようにグリチルリチン酸ジカリウムがもつステロイド様作用とは、ステロイド剤と同じ経路をたどって効果を発揮する場合もあれば、ステロイド剤とは違う経路をたどって結果的には同じ効果を発揮する場合もあるようです。そして先ほどの招かれざる副作用は、美肌作りとは真逆のベクトルとして大きく作用することとなり得ますが、次回の記事にて述べたいと思います。(続きの記事 へ)
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